2010/02/26

裸足に近い感覚で走れるシューズ

アメリカで『BORN TO RUN』がベストセラーになって一躍脚光を浴びたのが、Vibram社の5本指シューズ「FiveFingers」(http://www.vibramfivefingers.com/)。さまざまなタイプ、色のヴァリエーションがあり、ファッションとしても注目されているのはこちらの記事からも窺える(「グーグル創業者はオシャレ好きと判明!」:GIZMODO)。
ちなみに僕はSprintの赤を購入。日本の正規代理店としてはTABI・SQUAREが扱っていて、サイトも見やすいのでおすすめ。他にも楽天やアマゾンで購入可能。最近では5本指ソックスはかなり一般的になってきたので、5本指シューズも違和感がないか、といえばそんなことはなくて、やはり人目をひくに違いない。さらに日本人ならばここできっと考えるのが「足袋」だろう。
BRUTUSのこの前のランニング特集にも載っていたハリマヤのマラソン足袋、こちらのブログによれば、日本のマラソンの歴史はハリマヤの歴史と言ってもいいのだとか。ストックホルム、アントワープ、パリと3つのオリンピックでマラソンを走った金栗四三が履いていたのがこのハリマヤのマラソンシューズだ。
惜しくも1980年代に撤退したということだが、今でも探せばありました、足袋シューズ。先ほどのFiveFingersの日本の正規代理店であるTABI・SQUAREは、その名前から察せられるように、足袋スニーカー専門店 Shop TABI-JI をオープンしている。デザイン的にもかなりいい。もう一つ、ツイッターで教えてもらったのだが、「唐津月星 スポーツ地下足袋 ・ 球太くん」という名前もすごい地下足袋も発見。野球のトレーニング用に作られたらしいが(だから球太くん)、「脚力強化のためのスポーツ地下足袋」というふれ込みだから汎用性も高そうだ。果たして、ここら辺の足袋を履いてマラソンを走る方々はどれぐらいいるのだろうか? 期待を込めて注目したい。少なくとも、FiveFingersで東京マラソンを走る知人は一人いる。

2010/02/21

これぞBORN TO RUN…… “持久狩猟”の衝撃映像

Absolutely Fricking Amazing "Persistence" Hunt!



アフリカ、カラハリ砂漠のサン族(ブッシュマンとも言われる)が、オスのクーズーを“持久狩猟”でしとめるBBCの映像。『BORN TO RUN』に出てくるように、弓矢や槍といった道具を発明するもっと以前、人間はその持久力という武器で走り続けることで狩猟していたとされる。二本足歩行や発汗などはすべて持久走に適した進化であって、短距離では多くの動物に負ける人間も、長距離となれば馬にも勝てるのだ。逆に哺乳類は発汗できず呼吸によって体温を調節するため、この映像のクーズーのように、走り続けて体温が上がりすぎれば、いずれ走ることとの両立ができず立ち止まり、倒れることになる。『BORN TO RUN』の事例では3,4時間だったが、この映像では8時間だそうだ。

“裸足の教授”ダニエル・リーバーマンインタビュー by Nature誌

ハーバード大学の進化生物学教授ダニエル・リーバーマンのインタビュー。『BORN TO RUN』でも登場するリーバーマン教授は2010年1月27日付Nature誌に論文を発表。フォアフット(前足部)で着地するベアフットランニングは、スポーツシューズを履いて踵着地をするランナーよりも衝撃が少ないことを研究結果として示した。そのためベアフットランニングはより心地よく、ランニングに関する故障を生みにくいというものだ。同日「A softer ride for barefoot runners」という記事にもなっている。

 

2010/02/19

踵着地とフォアフット着地の違いがよく分かるビデオ

 Running Analysis of Heel Strike versus Forefoot Strike (Same runner, 2 weeks apart)

Newton社がつくった、踵着地とフォアフット(前足部)着地の違いを説明するビデオ。同一人部が前者から後者へとフォームを変えたもの(シューズは同じもののように見える)。

蹴り足の角度、足首の開き方、膝の曲がり方の違いがよくわかります。
 

2010/02/18

12週間でベアフットランナーになる方法:RUNNER'S WORLD

RUNNER'S WORLD
Lose the Shoes: A 12 week step-by-step plan to learn the art of barefoot running

RUNNER'S WORLDサイトのフォーラムの中に「ベアフット・ランニング」があり、その中でLast Place Jason氏がポストしたベアフット・ランナー入門者必読の指南を以下に抜粋。


◎フォーム

・まず、リラックスしていなければならない。全身から緊張がとれ、腕と脚はぶらぶらに。

・姿勢はまっすぐ、わずかに前に傾ける

・頭は地面に水平に前を向き、目は前の道やトレイルやトラックをみつめる

・手は身体の近くで軽く握り、肘を曲げる

・膝はストライドのどの時点でも曲がっている

・着地のたびに足を地面に「押しつける」のではなく、膝をまげることで足を地面から持ち上げるように

・あなたの足は、(普通のランニングシューズを履いている時のように)身体の前で着地するのではなく、身体のちょうど真下で地面に接地する。

・足でやさしく地面に触れる。つま先やかかとではなく中足部から接地し、残りの部分は転がすような動きでほぼ同時に地面に接地する。

・どこか公園や競技場で1分間に180歩のリズムで走ってみる。(もう少し速く、平均200〜210でもいいかもしれない)

・上り坂を走るには膝をさらに曲げることで足をさらに高くあげる。そうしないと足に摩擦がかかり水ぶくれなどになる。下り坂を走るときは素早く短いステップが必要になる。そうしないとかかとを地面に打ち付けることになり、ブレーキがかかってしまう。

・リラックスすることを忘れないように!


◎痛みと怪我

ベアフット・ランニングを始めるにあたってもっとも危険なことは、いきなりやりすぎること。あなたの足はその生涯のほとんどを靴の中で過ごしてきたので、骨も筋肉も靱帯も腱も弱っているし、繊細な足裏は地面からの刺激に慣れていない。怪我を避けるためには慎重にベアフット・ランニングを始めるのが重要だ。

というのも、裸足で走るととっても気持ちがいい!足の準備が整う前からもっともっと走りたくなること必至だからだ。だからいくらいい感じだと思っても、最初は慎重すぎるぐらいのペースから始めよう。さもないとさまざまな怪我に見舞われる。靱帯や腱を傷めたり、水ぶくれができたり、疲労骨折をするなど酷使による怪我がおこるのだ。もし痛みを感じたら、ストップ、やめることだ。走ったらかならず翌日は休み、それからまた走りだそう。もはや痛みを感じなくなるまでそれを続ける。“ちょっと痛みがあるけど走ってみよう”と考えてはいけない。足の強化中に起こる軟部組織傷害は、このプログラム全体を数週間から数ヶ月も遅らせることになる。最初にやりすぎて怪我になるのは、ベアフット・ランニングへの移行を成功させるにあたっての一番の関門なのだ!

もっともよく聞かれて一般的なのが、足の上部の痛みだ。鈍い痛みを足の上側部に感じる。これはいままでとは違う新しい筋肉、腱、靱帯を使うことのストレスにあなたの足の構造が順応しようとしているからだと思われる。ケン・ボブ・サクストンはこの現象について自身のウェブサイトで素晴らしい記事を書いている。このプロセスを乗り越えれば、素晴らしい体験が待っている!


◎プラン

■Stage 1(2週間)

できるだけいろいろな場所を裸足で歩きまわろう。まだ走ってはいけない。これによってあなたの足と足裏のコンディションがベアフット・ランニング向きになっていく。このステージではたとえば裸足のハイキングなどを加えてもいいだろう。このステージの目標距離はまだない。ふくらはぎのストレッチも入念にやっておこう。そうすればアキレス腱や足底筋膜炎といった怪我を防ぐことができる。2週間たっても痛みを感じなければステージ2へいこう。もしすでに普段から裸足で活動しているなら、このステージはスキップしていいだろう。

■Stage 2(2週間)

動かずにその場で裸足で歩いてみよう。ペースを徐々に速めて小走りぐらいのペースまで上げる。ここで感じてほしいのは、足を地面に押しつけるのではなく、軽く地面にタッチしてそのまままっすぐ引き上げる動きだ。またここで足の骨や筋肉や腱や靱帯をベアフット・ランニングに向けて準備させる。一日に30秒の足踏みを2,3回から始める。そして毎日15秒ずつ増やしていこう。もし3分間足踏みをしても痛みを感じないようになれば、次のステージへ進もう。同じく裸足の活動に慣れていれば、このステージはスキップ可能だ。

■Stage 3(4週間)

固くなめらかな路面で破片や小石などが落ちていない道を探そう。たとえば新しいアスファルトやなめらかな歩道、陸上トラックなど。一週間に3回走ってみよう。走ったあとは最低1日は休む。距離はランニングの経験に応じて200メートルから多くても400メートル。毎日200メートルずつ増やしていこう。ペースはとにかくスロウ、遅くだ。自分にいいフォームを探すことに集中する。もし痛みを感じたら、休みを増やす。もしまめができたらペースを落とし、フォームを見直そう。2.5キロをベアフットで痛みなしに走れれば次のステージへ。痛みは数日経ってから現れることもあるので注意。

■Stage 4(4週間)

違った場所も走ってみる。柔らかい地面や丘など、そして草地や土のトレイル、砂地などだ。たとえば固い地面を走ったら、次回は柔らかい地面を走る、といった具合にやるといいだろう。このステージでは、きっかり2.5キロを走ろう。そして毎日200メートルずつ増やしていく。あいかわらずペースはゆっくり、目標は完璧なフォームを作ることだ。やはり、マメができるようならペースを落とそう。もし痛みを感じたら休みをとること。5キロを痛みを感じずに走ることができたら、次のステージに移ろう。痛みは数日経ってから現れることもあるので注意。

■Stage 5

ここまでくれば、毎回5キロを走ろう。徐々にペースが上がり、距離が伸び、難しいトレイルや丘などがコースに加わってくるかもしれない。一度にひとつの要素ずつ加えるようにしよう。1週間に10%以上距離を伸ばしたり、1マイルにつき15秒以上スピードを上げてはならない。もう一度。マメができるようならペースを落とそう。もし痛みを感じたら休みをとること。あなたの足はあなたの「ランニングシューズ」の役目を果たせるようになっている。このステージまで来たというのは、格闘技で黒帯をとるのと同じだと心得ておこう。つまり、これで終わりなのではなく、これで基礎をすべて学び、真の探究が始まるということだ。ゆっくりと、身体の声に耳を傾け、あなたの旅を楽しんでほしい。

2010/02/17

『BORN TO RUN』著者がベアフット・ランニングを指導:ニューヨーク・タイムズ

The Roving Runner Goes Barefoot : The New York Times
http://well.blogs.nytimes.com/2009/10/05/the-roving-runner-goes-barefoot/

“さすらいのランナー”、NYタイムズのランニング・ライターBrian Fidelmanが『BORN TO RUN』の著者クリストファー・マクドゥーガルといっしょにニューヨークのセントラルパークを裸足で走った記事。動画は以下でも見られます。



【抄訳】
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クリストファー・マクドゥーガルはその著者『BORN TO RUN』のなかで、現代のハイテクシューズはわたしたちの自然なストライドを乱し、間違ったフォームを助長し、怪我につながると言っている。ということで、セントラルパークで一緒に裸足で走ってみることにした。といっても芝生の上で数分走るぐらいかと思っていたのだが、クリストファーの考えは違ったようだ。


「固い人工の道のほうが安全だ。自然の道には木ノ実や石が落ちている」とクリストファー。
でも、ガラスや尖ったものがあったらどうするの?
「このスペシャル装備を使う。両目だ」
私の走りはすぐに変わった。踵を打ち付ける走り方から、足の真ん中から足指のつけ根にかけてゆっくりと着地するようになり、背筋が伸び、ストライドが短くなった。意識したわけではなく自然とそうなるのだ。
「裸足で走ると、すぐにどうやって背筋を伸ばすか、素早く軽い着地をするか思い出せるんだ」
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“さすらいのランナー”とクリストファーはけっきょくセントラルパークを10キロほど、裸足で走ります。周りのランナーからはしばしば驚きの声が。あげくにあるランナーから「ベアフット・ランニングに興味があるならいい本がある」といって『BORN TO RUN』を薦められる始末(笑

“さすらいのランナー”は走っている時は足がまったく痛くならなかったそうですが、こちらのウェブサイトで「ベアフット・ランニングは徐々に慣らしていくのが大切」と書いてあるとおり、翌日には少し痛みが出たそうです。といってもそれは怪我というより使っていなかった筋肉を使ったからだとのこと。足裏の皮はまったく大丈夫。唯一、顔の筋肉が疲れているのは、ランニング中、笑顔が絶えなかったからだろうとのこと。

※ちなみに、ベアフット・ランニングをしながら、『BORN TO RUN』の登場人物の面々に今でも会っているのかとクリストファーに聞いたところ、カバーヨとはデンバーの書店のサイン会で、ジェンとはウェスタンステーツ100マイル・エンデュランスランで会ったし、ビリーとは最近ハワイへトレイルランニングに行ったとのこと。また、昔からベアフット・ランニングを唱えてきた人々がいるのに自分がブームの立役者のように取られるのは気が引けるとも述べていたそうです。